Ankle Sprain

足関節捻挫

    足関節捻挫とは?

    捻挫は靭帯損傷のことで、足関節捻挫は、スポーツ外傷の中で最も頻度が高いものです。多くが外側の靭帯(骨と骨をつなぐ繊維組織)が損傷する内反(内返し)捻挫です。前距腓靭帯と呼ばれる靭帯損傷が圧倒的に多いです。

    損傷の程度によって靭帯が引き伸ばされる程度の1度捻挫、靭帯の一部が切れてしまう2度捻挫、断裂してしまう3度捻挫に分類されます。重症度により治療法や治癒までの期間も変わります。

    外側のくるぶしの下が内出血してくる場合は、2度以上の損傷や剥離骨折を疑います。

    以前までの応急処置と今の応急処置は違う?

    応急処置として以前はRICE療法(R:rest/安静 I:icing/冷却 C:compression/圧迫 E:elevation/挙上)と呼ばれていましたが、現在ではPEACE&LOVE療法のほうが優れていると言われています。

    P(Protection:保護)

    まずは、損傷部位を保護することが必要です。

    固定できるものや包帯などで患部を固定します。病院などではギプスなどになります。最初の数日は負担を最小限にするために松葉杖を使用するとよいでしょう。

    E(Elevation:挙上)

    患部を心臓より高い位置に挙げることが重要です。腫れを抑え、内出血の拡大を最小限にします。腫れは痛みを助長します。クッションなどを使用して患部を上げると腫れを抑えてくれます。

    A(Avoid Anti-inflammatories:抗炎症薬は避ける)

    炎症は自然治癒過程の上で起こってくるものです。過度のアイシングや消炎鎮痛薬の使用は、治癒を妨げやすいので、この頃推奨されておらず、短期的な使用で痛みや腫れを軽減させることがよいでしょう。

    C(Compression:圧迫)

    圧迫することで腫れを抑えます。弾性包帯などを使い、適度な圧をかけることで患部が固定され腫れの悪化を防ぎます。ただし、あまり強く巻きすぎないように注意が必要です。

    E(Education:教育)

    捻挫の正確な疾患情報を得ることは、とても重要です。

    医師や理学療法士による教育と指導を受けることで、最適な治癒方法を得られます。

    L(Load:負荷)

    3.4日後から、徐々に患部へ負荷をかけることで、組織の再生を促し、リハビリの効果を最大限に引き出していきます。

    O(Optimism:楽観的であること)

    心の健康は身体の治癒に大きな影響を与えます。ポジティブな思考は、患者が治療を前向きに取り組む助けとなり、結果的に回復速度を上げます。靭帯損傷の回復は、3.4週ほどかかりますので、まずはしっかり治すことを肝に銘じて、無理して捻挫クセにならないように心掛けましょう。

    V(Vascularisation:血行を増やす)

    血液循環を改善させることは、損傷の部位の回復を促します。有酸素運動やソフトなストレッチングなどが具体例として挙げられます。

    E(Exercise:運動)

    損傷後の適切な運動療法が再発防止や機能回復を助けます。理学療法士などと一緒に行うことがよいでしょう。

    このページの制作者

    みんなの整形外科クリニック 院長 渡邉 友純

    岐阜大学を卒業後、岐阜県および滋賀県の病院に勤務し、診察や手術に携わってきました。前職では年間150件ほどの手術を執刀し、特に足(外反母趾、扁平足、足関節など)の治療を中心に、膝、股関節、脊椎、外傷(骨折中心)と幅広い分野での手術経験を有しています。豊富な臨床経験を活かし、患者様一人ひとりに最適な治療を提供することを心がけています。

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