外反母趾とは?
足の母趾(足の親指)が足の第2趾に向かって曲がることを言います。唯、曲がるのでなく内側に回旋するように曲がってきます。そのため、母趾の付け根の関節(MP関節:遠位から2番目の関節)が内側に突き出てしまい、その部分に炎症や痛みが起こるようになります。もともとは靴を履く機会が多い欧米人に多い病気でしたが、今では文化の変化に伴い日本でも増えています。
外反母趾が進行すると?
荷重が2趾にかかりやすくなり、足の裏に胼胝(タコ)ができやすくなります。さらに母趾の力が弱くなると2趾、さらに3趾の趾が曲がったまま伸びなくなり、亜脱臼を起こす場合があります。
外反母趾の原因
遺伝、足の形(ギリシャ型、エジプト型、スクエア型:エジプト型は靴を履くと母趾が圧迫され“くの字”に曲がりやすくなります)、性別(女性の方が圧倒的に多いです)、靴や靴の履き方、歩き方が関係していると言われています。
外反母趾の重症度
どれぐらいの角度で曲がっているかで決まり、レントゲンでの診断で軽症(20~30度)から重症(40度以上)まであります。
軽症の場合
改善することが可能ですが、ご自身が自覚していても放置していることが多く、放置すると症状は進行していきます。
そのため、足趾が自分で開けるうちに母趾の筋肉を鍛えておくことが重要です。
特に重要な筋肉は、母趾外転筋です。
母趾外転筋運動の仕方
- 足の指を思いっきり「パー」の形に開き、5秒間静止します。ゆっくりと数をカウントしましょう。
- 「グー」の形を作るよう、これも思いっきりして足指を数秒丸めます。
- 再び「パー」の形を作り、5秒間静止します。この動きを20回行いましょう。
5本指ソックスを着用することは、「親指と人差し指の間に布を挟む」ことと捉えられます。これにより、親指が人差し指をダイレクトに圧迫することにより起こる痛みの緩和や脱臼の予防に繋がります。
靴の履き方も重要です。ひも靴が有効で、踵をトントンと靴のヒールに密着させて、その後ひもをしっかり結ぶことで後足部がしっかり固定されれば、歩行時につま先への圧迫が軽くなります。
装具療法は、外反母趾を改善できませんが、痛みを取るうえでは有効です。装具によって圧迫されている神経が緩み疼痛の改善を促します。
中等度
足底板は、中等度までの外反母趾に対しては有効と言われています。足底のアーチが整うことによって足の開きが改善され靴による圧迫が軽減します。特に子どもの外反母趾に対しては有効になります。
重症
重症になると、不可逆的で手術で改善させるしかないと考えています。痛みに関しては工夫することで落ち着く可能性はあります。
私は、長いこと足を専門に診させて頂いていたので、足で悩んでいる時は、一度外来受診して頂ければ治療・相談などのります。